乳癌のほとんどは、乳管の細胞が癌化して発生しますが、その乳癌は「乳腺」にできる悪性腫瘍のことです。

乳腺は母乳を作り出す「小葉」と母乳が通る「乳管」で作られていますが、乳癌の約90%はこの乳管から発生し、正しくは乳管癌と呼ばれます。

反面、小葉から発生する乳癌はが約5~10%で、こちらは小葉癌と呼ばれます。

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乳癌はしこり発見が大事です!

ご存知のように、自分で判断できる乳癌の発見法は「しこり」を見つけることです。

しこりを見つける場合は、乳房全体を人差し指や指の腹などで軽く押しながら異物感がないか、チェックしてみてください。

しこりを見つけた場合の判断方法

・硬さ=基本は「硬く石ころのような感触」ですが一概にはそうとは言い切れず、乳管癌の超早期ですと「しこりなのか迷うような凹凸感触」もあるからです。

・大きさ=大きさの判断基準ですが、小さいから良性大きいから悪性で間違いなく癌とは言いきれません。

乳癌は癌細胞1つから発生して増殖して行きますので、最初は目に見えないくらい小さいのですが時間とともに増大して行きます。

しこりは1cm以上ですと自分で判断できますが、ただ乳房が小さい人はしこりがさらに小さくても見つけることが可能ですが、乳房が大きい場合は1cmのしこりでも見つけにくいものです。

2cm以上のしこりであれば、ほとんどの人が「しこり」を自覚できます。

ただ、注意したいのは決して「しこり=乳癌」ではありませんから、大きさや硬さで「乳癌」と自己判断しないでください。

大きさや硬さにかかわらずしこりを自覚した場合には、ぜひ病院を受診してください。

胸のしこりで考えられる病気

しこり=乳癌とは限らない、と申し上げたようにしこりから考えられる病気は以下の通りです。

【乳腺症(にゅうせんしょう)】
胸にしこりができる病気の中で最も多いのが乳腺症で、しこりそのものは良性です。

年代としては30代から40代の発症確率が高く、生理前後でしこりの大きさや硬さが変わる特徴があります。

しこりの特徴は凸凹しており、境目がわかりづらくなっています。

【乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)】
乳腺線維腺腫はしこり以外の症状はなく、痛みも突っ張った感じもありませんが、20代の若い女性に発症する確率が高いものです。

原因は女性ホルモンの影響で起こるとされていますが、しこりは平らで触ってみると滑らかという特徴があります。

また、触っているうちにしこりが良く動くため乳癌と間違えやすいと言われています。

乳癌になるしこりその原因とは?

乳癌の原因の大部分を占めていると言われているのは「遺伝子異常」「女性ホルモンの影響」ですが、生活環境以外の影響が大きいのです。

女性の20人に1人が乳癌になると言われる昨今、原因を知ることはもちろん大切ですが生活習慣や食生活を見直すことも、決して無意味ではないですが、もっとも重要なことは、

「一年に一度(できれば二度)乳癌検診を受けること」です。

乳癌のしこり発見は検診がベストです

しこりの原因はマンモグラフィー(乳房X線検査)でわかりますし、乳癌の早期発見に有効と言われています。

マンモグラフィーでは、乳癌のほか、乳腺線維腺腫や乳腺症も発見できます。

自分でできる乳癌チェック法

1、月に1度はセルフチェックをすること。
鏡の前で形をチェックする方法として、自然な立ち姿で鏡の前に立ち左右の胸に異変がないかをチェックすること。

胸のサイズが左右で違うとか、引きつったような皮膚状態がないかなど、見た目の変化を調べましょう。

また両腕を上にあげ、その状態で引きつっていないかをチェックします。

2、仰向けなって乳房を触ってしこりのチェックをすること。
仰向けに寝て、背が反り過ぎないように気をつけながら背中に低い枕などを入れて、乳房に触ってしこりがないかどうかをチェックします。

チェックする乳房と同じ方の手を上げ、反対の手で撫でるようにして胸を触って、指先ではなく指の腹で触るとよりわかりやすいです。

これを両方の乳房でさらに、内側と外側ともにチェックします。

3、リンパと乳頭のしこりもチェックすること。
2の状態から起き上がり脇の下に指を入れる感じで、リンパ節のしこりをチェックしましょう。

また乳頭を軽くつまんでみて分泌物が出てこないか、血液が混ざっていないかのチェックも行います。

セルフチェックは毎月決まった日に行うのが理想ですから、たとえば生理の終った翌日とか自分で決めて行うようにしましょう。

乳癌の三大特徴

乳癌の怖い特徴として「進行が早い」「転移しやすい」「再発しやすい」ものですから、乳癌は早期発見、早期治療が最も重要なのです。

だからこその「乳癌検診」と言うことをくれぐれも忘れないでください。

乳癌のしこりから生まれる症状とステージとは?

・上述したように乳房のしこりは、時間が経つにつれはっきりとわかるしこりになって行きます。

・また、乳癌が乳房の皮膚の近くに達すると、えくぼのようなくぼみができたり皮膚が赤く腫れたりする症状が出ます。

・乳房のしこりがはっきりしない場合は、乳房表面の皮膚がオレンジ色のようになり、さらに痛みや熱を感じる場合は「炎症性乳癌」と言います。

・炎症性乳癌がこのように変色したり痛みがあるのは、乳癌細胞が皮膚のリンパ管の中に詰まっているためです。

・つまり炎症性乳癌の場合は全身転移をきたしやすい、リスクの高い乳癌であると言うことです。

・乳房の近くのリンパ節の腫れ乳癌は、脇の下のリンパ節、胸骨のそばのリンパ節、鎖骨の上下のリンパ節に転移しやすいものです。

・リンパ液の流れが悪くなると、腕に向かう神経を圧迫して腕の痺れが出てきます。

乳癌の進行を表すステージとは?

乳癌のステージ(病期)は以下の通りです。

【ステージI期】
しこりの大きさが2cm以下で、脇の下のリンパ節には転移していない状態(乳房の外に広がっていない)

【ステージII期】
IIa期… しこりの大きさが2cm以下で、脇の下のリンパ節への転移がある場合、またはしこりの大きさが2cm~5cmでリンパ節への転移がない場合。

IIb期… しこりの大きさが2cm~5cmでさらに脇の下のリンパ節への転移がある場合。

【ステージIII期】
IIIa期… しこりの大きさが2cm以下で、脇の下のリンパ節に転移が見られ、さらにリンパ節が癒着していたり周辺の組織に固定している状態や、脇の下のリンパ節転移がなく胸骨の内側のリンパ節が腫れている状態にある場合。

またはしこりの大きさが5cm以上で、脇の下あるいは胸骨の内側のリンパ節への転移がある場合。

IIIb期… しこりの大きさや脇の下のリンパ節への転移の有無に関係なく、しこりが胸壁にしっかり固定されている場合や、皮膚にしこりが顔を出したり皮膚が浮腫んでいるような場合。

IIIc期… しこりの大きさに関係なく、脇の下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移が認められた場合や、鎖骨の上下にあるリンパ節に転移がある場合。

【ステージIV期】
遠隔臓器だる骨、肺、肝臓、脳などに転移している場合。

【再発乳癌】
乳房のしこりに対する初期治療を行った後に、乳癌が再び発症することを「再発」と言い、通常は他の臓器に出てくる「転移」を指し、IV期の乳癌と同じく「転移性乳癌」と呼びます。

なお乳癌手術後に乳房の領域に出てくることは「局所・領域再発」と呼んで区別されます。

このテーマのまとめ

乳癌の罹患率は年齢別ですと、30歳代から増加し始め、50歳前後にピークを迎えて以降は次第に減少する傾向があります。

ちなみに、乳癌にかかる女性の数は「乳癌で死亡する人の数の3倍以上」と言われ、すなわちそれは女性の乳癌の生存率が比較的高いと言えます。

ですから乳癌の意識を高め「早期発見のための乳癌検診」を、心掛けましょう。

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